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山口地方裁判所 昭和61年(ワ)100号 判決 1991年1月31日

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告山口県は、各原告に対し、それぞれ三六八六万一四九〇円及びこれに対する昭和六〇年九月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  被告新光産業株式会社及び同村田喜奈雄は、連帯して、各原告に対し、それぞれ三六八六万一四九〇円及びこれに対する昭和六〇年九月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

4  1、2項につき仮執行宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  (被告山口県)

(一) 原告らの被告山口県に対する請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。

(三) 担保を条件とする仮執行免脱宣言。

2  (被告新光産業株式会社及び被告村田喜奈雄)

(一) 原告らの被告新光産業株式会社及び同村田喜奈雄に対する請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

木村政一(以下「亡木村」という。)は、昭和六〇年八月三一日午前九時一〇分ころ、宇部市港町一丁目の宇部港内において、同所に設置された防潮鉄扉(以下「本件鉄扉」という。)が転倒してその下敷きとなり、肋骨骨折、骨盤骨折、頭蓋骨骨折等の重傷を負い、同日午前九時五〇分ころ死亡した(以下「本件事故」という。)。

2  本件事故発生の経緯等

(一) 本件事故当日の亡木村らの作業状況

亡木村は、昭和五九年一〇月ころから、自ら数名の従業員を使用し、被告新光産業株式会社(以下「被告会社」という。)の下請けとして被告会社構内において金属加工の仕事に従事し、また、時には被告会社の指示によって同会社に雇用されて種々の仕事をしていた者であるところ、昭和六〇年八月三一日午前八時ころ、被告会社から、台風一三号の接近に備えるため宇部港へ行き、被告会社の現場代理人である被告村田喜奈雄(以下「被告村田」という。)の指揮の下に高潮対策のための作業に従事するよう指示を受け、亡木村の作業員魚本直男(以下「魚本」という。)、被告村田及び同人の従業員一名とともにトラック(以下「本件トラック」という。)に乗って暴風雨圏内に入ろうとしている宇部港に向かった。

亡木村らは、宇部港において、被告村田の指示の下に本件鉄扉とは別の防潮鉄扉二門を閉め、その後、亡木村、魚本及び被告村田の三名は、本件鉄扉所在場所へ行き、右鉄扉を閉めようとしたが、動かなかったため、被告村田が本件トラックと右鉄扉をワイヤーでつなぎ、右トラックを動かして鉄扉を引っ張り、亡木村が本件トラックとは反対側の鉄扉の他端に立ってバールを鉄扉の下の隙間に入れてこじ上げる作業をしていたところ、本件鉄扉が転倒し本件事故が発生した。

(二) 本件鉄扉の構造

本件鉄扉は、高さ1.3メートル、長さ9.28メートル(本体部分7.28メートル、鉄扉のふれ止め部分二メートル)、重さ約二トンの手動式横引ゲートであって、底部の三個の車輪で鉄製レール上を移動して開閉する構造となっており、上部には五個のガイドローラーがあってこれがガイドレール内を走行することで転倒を防止するようになっている。ガイドローラーは、扉体本体上部に三個、ふれ止め部分上部に二個設置され、本体鉄扉が完全に開いているときには、扉体本体自体の三個のガイドローラーがガイドレール内にある状態で、ふれ止め部分上部の二個のガイドローラーはガイドレールの外にあり、本件鉄扉が閉じられるにつれ、扉体本体上部の三個のガイドローラーがガイドレールから出ていき、ふれ止め上部の二個のガイドローラーがガイドレールの中に入っていくという仕組である。

(三) 本件鉄扉の転倒原因

本件事故当時、本件鉄扉の下部レール部分を乗せている基礎コンクリート部分が沈下していた上に、被告村田が、鉄扉が本来動く方向よりやや斜めにトラックで牽引したため、車輪がレールからトラックの方向に外れて全体が下に下がり、そのため本件鉄扉の上のガイドレールに入っていたガイドローラーも外れて鉄扉が不安定な状態になって転倒したものである。

3  被告らの責任

(一) 被告会社(民法七一五条)及び被告村田(民法七〇九条)の不法行為責任について

ア 被告村田は、被告会社が本件事故より約一〇日前に被告山口県(以下「被告県」という。)から依頼を受けて行った本件鉄扉の点検整備作業に従事したのであるから、本件鉄扉のレールの沈下により開閉に異常があり、右鉄扉をトラックで牽引したならば、転倒することを知っていたか、あるいは知り得べきであったのに、何ら安全を確認することなく右鉄扉をトラックによって牽引した過失により、本件事故を惹起させたものである。

イ 被告会社は、本件事故当時、被告村田を雇用しており、仮に、そうでないとしても、被告村田は、被告会社から命ぜられて台風に際しての緊急高潮対策業務に従事していたものであるから、被告会社の指揮監督の下にあったといえるところ、前記のとおり、本件事故は被告村田が被告会社の業務執行中にその過失により惹起したものであるから、被告会社は民法七一五条に基づき、被告村田は同法七〇九条に基づき、原告らの後記損害を賠償すべき義務がある。

(二) 被告会社の運行供用者責任(自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条)

前記2(三)のとおり、本件事故は、被告村田が被告会社所有の本件トラックと本件鉄扉とをワイヤーロープで連結した上、右トラックを運転して本件鉄扉を引っ張ろうとした際に転倒したものであるから、被告会社は、自賠法三条に基づき、原告らの後記損害を賠償すべき義務がある。

(三) 被告県(国家賠償法(以下「国賠法」という。)二条一項、三条一項)

被告県は、宇部港の所有者である国から委任されて同港の管理をしているものであり、本件鉄扉は右宇部港の営造物の一部であるところ、本件事故は、右鉄扉が老朽化していたことにより発生したものであるから、被告県には右鉄扉の管理に瑕疵があった。

仮に、被告県が宇部港の管理者でなく、県知事が管理者であるとしても、被告県は、県知事の俸給の負担者である。

よって、被告県は、国賠法二条一項又は三条一項に基づき、原告らの後記損害を賠償すべき義務がある。

4  損害

(一) 逸失利益

(1) 亡木村は、死亡当時、満五〇歳の健康な男子で少なくとも五〇万円を下らない月収を得ていたものであるところ、(仮に右主張の収入が認められないとしても、昭和六一年度賃金センサス第一巻第一表の企業規模計、産業計学歴計男子労働者五〇歳ないし五四歳の年収五三六万二〇〇〇円あるいは右第二表製造業計中卒男子労働者勤続三〇年以上の五〇歳ないし五四歳の年収四七八万三一〇〇円の収入が認められるべきである。)、同人の就労可能年数は死亡時から一七年、生活費は収入の三〇パーセントと考えられるから、同人の得べかりし利益を新ホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算出すると、次のとおり五〇七二万二九八〇円となる。

50万円×12×(1−0.3)×12.0769=5072万2980円

(2) 亡木村の妻原告木村要子及びその間の子同黒河須麻子は、右損害賠償請求権を二分の一宛相続した。

(二) 葬儀費用

八〇万円(原告らが各二分の一宛負担)。なお、被告新光産業が葬儀費用として七一万一三〇〇円を支出したことは知らない。

(三) 慰藉料

亡木村の死亡により原告らが被った精神的苦痛に対する慰藉料は各原告につき一〇〇〇万円が相当である。

(四) 弁護士費用

三〇〇万円のうち二二〇万円(原告らが各二分の一宛負担。)

よって、原告らは、各被告に対し(被告会社と同村田は連帯して)、損害賠償請求権に基づき、各三六八六万一四九〇円及びこれに対する本件事故発生日の翌日である昭和六〇年九月一日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する被告会社及び同村田の認否及び反論

(認否)

1 請求原因1の事実は認める。

2 同2について

(一) 同(一)のうち、亡木村が昭和五九年一〇月ころから、自ら数名の従業員を使用し、被告会社の下請けとして被告会社構内において金属加工の仕事に従事していたこと、被告会社の指示により、亡木村が、魚本、被告村田及び同人の従業員一名とともに台風一三号の暴風雨圏内に入ろうとしている宇部港にトラックに乗って出向いたこと、亡木村らが本件鉄扉とは別の防潮鉄扉を閉めたこと、本件事故当時、亡木村が本件鉄扉の端に立ってバールを鉄扉の下の隙間に入れてこじ上げる作業を行っていたこと、本件鉄扉が転倒したことは認め、その余の事実は否認する。

(二) 同(二)の事実は認める。

(三) 同(三)の主張は争う。

3 同3について

(一) 同(一)は否認する。

(二) 同(二)のうち、本件トラックが被告会社の所有であること、被告会社が運行供用者であることは認め、その余の事実は否認し、その主張は争う。

4 同4について

(一) 同(一)(1)のうち、亡木村が満五〇歳であったことは認めるが、その余の事実は否認し、その主張は争う。同(2)のうち、原告主張の身分関係は認めるが、その主張は争う。

(二) 同(二)の事実は否認する。被告会社は、葬儀費用として七一万一三〇〇円を支出している。

(三) 同(三)及び(四)の主張は争う。

(反論)

1 本件事故発生に至る経緯

(一) 被告会社は、昭和六〇年八月三一日午前八時〇五分ころ、宇部港湾管理事務所(以下「管理事務所」という。)から、宇部港において土のうを積む作業のために二トンダンプと作業員四、五名の派遣を依頼されたため、被告会社鉄鋼事業部課長代理三木義夫(以下「三木」という。)において亡木村及び被告村田に対し、同人らの従業員とともに、被告会社機材課において土のう袋四〇〇枚を積んで本件トラックで管理事務所前へ行き、そこで待機するよう指示した。

(二) 被告村田、亡木村、魚本及び被告村田の従業員一名は、四〇〇枚の土のう袋を積んで午前八時五〇分ころ、管理事務所の北側に離れて位置する大和運輸株式会社(以下「大和運輸」という。)前付近に到着し、その付近において見知らぬ数人が鉄扉を閉めていたので、右付近にある鉄扉を自発的に閉め、さらに被告村田は、これに先立ち管理事務所が管理する鉄扉の可動テスト点検をして本件鉄扉等の存在を知っていたため、亡木村及び魚本とともに本件鉄扉を閉めることとした。

(三) 本件鉄扉が完全に開門された状態であったので、亡木村は、右鉄扉の後部下をバールでこねて押し、被告村田及び魚本は、右鉄扉の先端にある把手を手で引っ張り、約四メートル閉めることができたが、それ以上動かなくなったため、被告村田が本件トラックを移動させ、トラックの前部フックと鉄扉の先端の把手とを3.6メートルのワイヤーロープで連結し、バックで約一メートル引っ張ったが、トラックが海に落ちそうになったので、トラックを停止し、再び、被告村田及び魚本が鉄扉前部を引っ張り、亡木村が右後部をバールでこねて押し上げる作業を行い、約0.5メートル閉じたところ、本件鉄扉が転倒し、亡木村が右鉄扉のふれ止めの下敷きとなった。

2 本件事故原因

(一) 本件鉄扉の構造は原告主張のとおりであって、通常物理的には転倒することがない構造になっているところ、本件鉄扉においては、その地盤が不等に沈下しており、レールのコンクリート基礎と地盤の間に地下で隙間が生じ、鉄扉を閉めるとその重圧のためにレールが沈下する状態であったため、ガイドローラーも当然下方に沈下して噛み合わせが甘くなり、ガイドレールから外れ易い状態であり、かつ、本件事故当時、本件鉄扉が約五メートル、レール上に移動している状況の下において、台風からの強い東風が吹いていたため、本件鉄扉自体強い風圧を真正面から受ける状態になっていた。したがって、右のとおり、本件鉄扉においては、ガイドローラーがガイドレールから脱落しやすい状態にあったところ、折から強い東風の風圧を真正面から受けたため、この両者が競合して転倒したものである。

(二)(1) 本件鉄扉は、本件事故後においてもガイドローラー及びガイドレールは何ら破損しておらず、かつ、ガイドレールは全く曲折していないのであるから、仮に、被告村田が本件トラックにより本件鉄扉を牽引したとしても、ほぼ水平に牽引する力ではガイドローラーがガイドレールから脱落することはあり得ないので、被告村田による本件トラックによる牽引は転倒の原因ではない。

(2) 被告村田は、本件事故当時、本件鉄扉の詳細な構造は知らなかったし、地盤の欠陥についても全く知らなかったものである。

三  請求原因に対する被告県の認否及び反論

(認否)

1 請求原因1の事実は認める。

2 同2について

(一) 同(一)の事実は知らない。

(二) 同(二)の事実は認める。

(三) 同(三)の事実は否認する。

3 同3(三)のうち、本件鉄扉が国の所有であって、宇部港の営造物であること、被告県が同県知事の俸給の負担者であることは認めるが、その余の事実は否認し、その主張は争う。

4 同4について

(一) 同(一)のうち、亡木村が、死亡当時、満五〇歳であったことは認め、その余の事実は知らない。その主張は争う。

(二) 同(二)及び(三)の事実は知らない。その主張は争う。

(三) 同(四)のうち、原告らが本件訴訟の追行を弁護士に委任したことは認めるが、その余の事実は知らない。

(反論)

1 本件鉄扉の管理について

(一) 本件鉄扉は、その前面の港湾を利用する人や車両の通行が可能なように胸壁に設けた門扉(海岸法一四条三項所定の「陸こう」に該当する。)であり、同法により指定された海岸保全区域内の海岸保全施設として昭和四一年に設置された国有施設であって、その管理は、同法五条三項によって宇部港港湾管理者の長たる山口県知事に機関委任され、被告県の出先機関である管理事務所が具体的な管理にあたっている。右管理事務所は、定期ないし随時に点検調査するなど鉄扉の状態を把握し、その結果に基づいて不備なものについては適宜補修改築等の措置をとることにより、良好な状態に維持し、海岸保全上の万全を期している。

なお、本件鉄扉の点検は、被告会社が請け負って(被告村田も点検作業にあたっている。)、昭和六〇年八月二二日に実施され、特段異常は認められないとの結果報告であったが、後日になってガイドローラーがガイドレールに引っ掛かりそのままでは前進せずガイドローラーを外したことが判明した。

(二) 本件鉄扉の閉鎖時期については、一方で台風の接近度、波浪の状況、潮位等からみた危害の逼迫度と他方で通路としての機能を持つ陸こうの閉鎖が周辺の利用に与える影響を勘案し、現実の利用状況に即して管理事務所が決定しており、その開閉操作は管理事務所が直接行うことになっている。

ところで、本件事故当時の潮位では地盤面越波までにはまだ余裕があり、強風が東から西に、すなわち陸側から海側に向けて吹いており波浪の陸地に対する影響が抑制されていたことから、客観的状況としても本件鉄扉を閉める必要はなかった。

2 本件事故発生に至る経緯

管理事務所は、昭和六〇年八月三一日午前七時三〇分、台風一三号が接近していたことから、被告会社に対し、修理を依頼し、概ね修理を完了していた鉄扉二基の仮設的な取り付けを依頼し、また、同日午前八時過ぎ、点検において作動困難な状態にあるとされた管理事務所周辺部の三か所の陸こう開口部に土のうを積んでこれを閉鎖するために必要な資材の調達とその作業の実施方を依頼したが被告県は、本件鉄扉につきその閉鎖等何ら注文依頼はしていない。

3 本件事故原因

本件鉄扉は、その開口部において基礎部分のある程度の沈下があり、ある程度閉鎖した状態からはその自重又はワイヤーロープ等による斜め下向きの牽引を受けることによって扉体前端部分が沈み、一方で扉体後端部分が浮き上がる状態になっていた(本件事故後の実況見分においては、本件鉄扉を解放状態から徐々に閉めていったところ、約1.5メートル進んだ位置で扉体後部ふれ止め上部のガイドローラーが上にはみ出してガイドレール端にひっかかり、単に牽引するだけでは閉鎖が不可能になった。)。本件事故は、本件鉄扉が約5.7メートル進んだ位置で転倒したとされているところ、右のような状態である以上、トラックを使用し、バールで扉体後部をこじ上げる方法では、約1.5メートル進んだ位置で進まなくなったはずである。したがって、本件事故の際には、ガイドローラーが外されたと考えざるを得ない。

仮に、本件事故の際にガイドローラーを外さずに本件鉄扉を引き出すことができたとすると、基礎部分の沈下の程度は実況見分時に比してはるかに少なかったはずであるから、本件鉄扉が転倒したのは、強風下においてトラックによる斜め方向からの無理な牽引によって脱輪し、その結果、ガイドローラーが外れて転倒防止装置の役割を果たさなかったために起きたものである。

4 本件鉄扉にかかる設置管理の瑕疵について

(一) 本件鉄扉の本来の操作方法は、扉体に対して閉める方向に平行に人力で荷重を加えるものであるところ、本件事故に際しては、被告村田がトラックを用いて過大な荷重で斜め方向へ牽引しながら、亡木村が扉体の後部をバールでこねる方法で本件鉄扉を閉めようとしたものであり、さらに、転倒防止装置であるガイドローラーが外されていたものである。右のように、被告村田、亡木村及び魚本は、ガイドローラーを外したり、トラックによる牽引及びバールを使用するという、脱輪、基礎部の損傷等予見できない結果をもたらすおそれのある危険な作業方法を行ったものであって、右作業方法は本件鉄扉の通常の使用方法ではない。

(二) 管理事務所は、本件事故当時の状況からは本件鉄扉を閉鎖する必要はないとの判断をしており、また、その必要が生じたときには近くの管理事務所職員がすでに防災体制で臨んでいたのであるから、管理者に断りなく、少人数、かつ、特異な方法によって危険を冒してまで本件鉄扉を閉鎖しようとすることは、被告県の担当者の予見の範囲を越えるものである。

第三  証拠<省略>

理由

一  請求原因1の事実は当事者間に争いがない。

二  本件鉄扉について

1  本件鉄扉の管理

(一)  本件鉄扉が国の所有であって、宇部港に設置された営造物であることは原告と被告県との間に争いがない。

(二)  <書証番号略>、証人重富智勝の証言及び弁論の全趣旨を総合すると、本件鉄扉は、津波あるいは台風による浸水の被害を防止することを目的として設置された国所有の海岸保全施設であって、港内に一六〇余りある防潮鉄扉のひとつであること、その管理は、宇部港港湾管理者の長である山口県知事に機関委任され、具体的な管理は、海岸法に基づいて宇部港等の海岸保全施設の維持、管理、建設及び改良業務を行っている管理事務所が担当していること、本件鉄扉を含む防潮鉄扉については、管理事務所が具体的に管理していること、ただ、防潮鉄扉の開閉については、被告県から宇部市に委託し、さらに、右宇部市は右防潮鉄扉が設置されている周辺の企業等に再委託をしていること、しかしながら、本件鉄扉を含む八門の防潮鉄扉については、宇部市から再委託を受けて管理事務所が開閉の操作を行っていることが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。

2  本件鉄扉の構造

請求原因2(二)の事実は当事者間に争いがなく、右争いのない事実に、<書証番号略>、証人重富智勝の証言、検証の結果及び弁論の全趣旨を総合すると、本件鉄扉は、高さが1.3メートル、長さが9.28メートル(扉体本体7.28メートル、ふれ止め部分二メートル)、重さ約二トンの手動式横引ゲートで、扉体本体の底部に縦一列に付いている三個の車輪で基礎部分に埋設された鉄製レール上を移動し、開閉する構造となっていること、また、本件鉄扉の上部には、高さ六センチメートルの基底部上に、高さ四センチメートル、直径一〇センチメートルの円柱状のガイドローラーが五個(扉体本体に三個、ふれ止め部分に二個)取り付けられており、右ガイドローラーが胸壁に設置されたコの字型をしたガイドレールの溝内を走行することによって、転倒を防止する仕組みになっている(本件鉄扉が完全に開かれているときには、扉体本体上部のガイドローラー三個がガイドレール内にあり、閉鎖されるにつれて右ガイドローラーはガイドレールから出て行くが、今度はふれ止め部分上部のガイドローラーがガイドレール内に入ってくるようになり、完全に閉鎖したときには、ふれ止め部分上部の二個のガイドローラーがガイドレール内にあることになる。)こと、本件鉄扉は、風速毎秒四五メートルほどの風圧に耐えられるような構造になっていることが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。

3  事前点検

証人重富智勝の証言、<書証番号略>及び弁論の全趣旨を総合すると、管理事務所は、昭和六〇年八月ころ、被告会社に宇部港の防潮鉄扉の点検を依頼し、うち本件鉄扉については、同月二二日に被告会社鉄鋼事業部正木係長、浦田係長代理及び被告村田が実際に点検したこと(以下「本件点検」という。)、被告村田らは、右点検において、本件鉄扉の下部のレール部分の溝を清掃した後、二人で本件鉄扉を押して閉めようとしたが閉めることができなかったので、本件鉄扉にワイヤーをかけて自動車で牽引して右鉄扉を閉め、残部の右レール部分の溝を清掃し、再び右同様の方法で本件鉄扉を開けたが、その際、本件鉄扉は割合容易に開いたこと、右点検結果については、点検当日、被告会社から管理事務所に異常がなかった旨の報告が口頭でなされたこと、なお右点検時において、本件鉄扉の基礎コンクリート部分に割れ目が認められたこと、以上の事実が認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。なお、本件点検時において、最後部のガイドローラーがガイドレールの上に突出するようになって右レール後端に引っかかり、そのため本件鉄扉を人力で閉鎖することはできなかったので最後部のガイドローラーを外した上、トラックにワイヤーを掛け、牽引して開閉したなど、右点検時の開閉状況に関する証人重富智勝の証言は、前掲各証拠、とりわけ、証人重富の情報源であるという米原係長は本件鉄扉の点検時には立会っていないことが窺われること<書証番号略>、被告会社は本件点検の際、他の鉄扉等についての改善を要するところはその旨報告していること<書証番号略>、被告会社において、本件鉄扉が重富証言にいうように故障しているのにあえてこれを看過し、かつ、ガイドローラーを外すという方法で点検を行わねばならない事情を見い出し難いこと、さらに右重富証言がなされた時期等に不自然な点があること等の事情に徴すると、採用し得るものではない。

三  本件事故発生に至る経緯

1  本件事故当日の本件鉄扉付近の状況と管理事務所の判断

<書証番号略>、証人重富智勝の証言を総合すると、本件事故当日は宇部港付近に台風が接近してきており、午前八時から九時ころの間において、平均風速二〇メートル、最大瞬間風速二五メートル以上の東風が吹いていたこと、そこで、管理事務所は水防に備えて人員を確保していたこと、防潮鉄扉を閉鎖するか否かの明確な基準は設けられていなかったものの、本件鉄扉付近の基本水準面は4.5メートルであるところ、本件事故当時の潮位は4.1メートルであって、まだ四〇センチメートルの余裕があったこと、当時、東風つまり陸方向からの風であったこと、右のとおり、管理事務所に人員があったこと等の事情から、管理事務所としては、右時点において本件鉄扉を閉鎖する必要があるとは判断していなかったことが認められ、これを覆すに足る証拠はない。

2  被告会社の亡木村及び被告村田に対する依頼内容

亡木村が昭和五九年一〇月ころから、自ら数名の従業員を使用し、被告会社の下請けとして被告会社構内において金属加工の仕事に従事していたことは原告らと被告会社、同村田との間において争いがなく、右当事者間に争いのない事実に、証人重富智勝及び同三木義夫の各証言、被告村田本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、前記1のとおり、本件事故当日は台風が接近していたため、管理事務所は、被告会社に対し、同会社が修理のため持ち帰っていた本件防潮鉄扉以外の鉄扉をそれぞれの場所に仮設的に取り付けること及び本件点検の際に動かないとの報告を受けていた防潮鉄扉等三か所に土のうを積む作業を依頼したこと、そこで、被告会社は、土のうを積む作業について、土木課で土のうを準備し、鉄鋼事業部で人員を手配することとしたこと、鉄鋼事業部課長代理三木は、午前八時過ぎころ、被告会社構内において同会社の下請けとして金属加工を行っていた亡木村及び同様に同会社の下請けである被告村田に対し、土のうを積む作業を依頼し、機材課でトラックに土のう袋を積んだ後、管理事務所前で三木が来るのを待つように指示したことが認められ、右認定に反する証人土井登美男及び同松田徳男の各証言部分は前掲各証拠に照らし採用することができず、右認定を覆すに足る証拠はない。

3  亡木村及び被告村田の作業内容

<書証番号略>、証人重富智勝、同魚本直男(第一、二回、ただし、後記採用しない部分を除く。)、同三木義夫の各証言、被告村田本人尋問の結果及び検証の結果を総合すると、亡木村及びその従業員であった魚本は、午前八時三〇分ころ、被告村田の従業員一名とともに、被告会社入口付近において、被告村田の運転する本件トラックに乗って宇部港にある大和運輸南側の防潮鉄扉付近まで行き、右四名はそこで降りたこと、同所において被告会社の従業員が右防潮鉄扉閉鎖作業を行っていたため、右四名は右閉鎖作業を手伝ったこと、被告村田は、右鉄扉付近の潮位がかなり上がっていたため、本件事前点検の作業をした本件鉄扉を閉鎖した方が良いと判断し、亡木村及び魚本とともに、本件鉄扉まで歩いて行ったこと、そして、被告村田及び魚本が本件鉄扉本体の前部から引っ張り、亡木村が本体後部下を本件トラックから持って来たバールでこね上げる方法で右鉄扉を閉鎖しようとしたところ、本件鉄扉は少しは動いたものの、その後は全く動かなかったこと、被告村田は、本件事前点検の際に本件鉄扉をトラックで牽引して開閉させたことから、同様の方法で本件鉄扉を閉鎖しようと考え、本件トラックを本件鉄扉付近まで移動させ、右トラックの前部フックに約3.5メートルのワイヤーロープの一方を連結し、他方を本件鉄扉本体の把手に連結したこと、そして、被告村田が右トラックをバックさせて本件鉄扉を牽引し、亡木村が前同様に本件鉄扉後部の車輪をバールでこね上げたこと、被告村田は、本件鉄扉を開口状態から約5.5メートル閉鎖したところで右トラックを停車したが、その後本件鉄扉が西側に転倒し、亡木村はふれ止め部分の下敷となったこと、被告村田らは、本件鉄扉を閉鎖するに当たり、本件鉄扉の上部に設置されたガイドローラーを外したりしていないこと、また、本件事故後において、本件鉄扉下部の車輪が鉄製レール上から脱輪したことを示す痕跡などは認められなかったこと以上の事実が認められ、右認定に反する魚本直男の証言部分は前掲各証拠に照らし採用することができず、他に右認定を覆すに足る証拠はない。

四  本件事故原因

1  本件事故後の検証結果等について

<書証番号略>、証人重富智勝及び同三木義夫の各証言並びに検証の結果を総合すると、本件事故発生の翌日及び翌々日、宇部警察署による本件鉄扉の実況見分が行われ、右鉄扉をクレーンで吊り上げて転倒しないようにした上で、右鉄扉本体前部の把手と船をつなぐ係船柱とをチェーンブロックで連結してゆっくり引っ張り出したところ、約1.5メートル閉鎖した所で、本件鉄扉前部が下がり、後部が浮き上がった状態になったため、ふれ止め部分上部についている最後部のガイドローラーがガイドレールの上に突き出て引っ掛かり、本件鉄扉はそれ以上動かなくなったこと、その際、立会者がバールで最後部のガイドローラーを押し下げてガイドレールの中に入れようとしたが入らなかったこと、そこで、本件鉄扉前部をクレーンで吊り上げるようにして右最後部のガイドローラーをガイドレール内に入れて閉鎖していったところ、開口状態から約5.44メートル閉鎖したところで、本来、ガイドローラーとガイドレールとのかかりは四〇ミリメートルあるところ、右かかりが四ミリメートルとなってガイドローラーがガイドレールから外れ易くなり、東側から人力を加えると西側に転倒する状態になったこと、右実況見分時においては、基礎部分のレール及び車輪には錆が付着していたものの、欠損等はなく、また、ガイドローラー及びガイドレールにも顕著な破損及び屈曲はなかったこと、しかしながら、本件鉄扉の開口部南側端を中心に南北双方の方向にそれぞれ約三メートルずつの範囲にわたって、地盤が沈下したことにより、基礎部分のレールと基礎コンクリートの間に隙間が生じており、右立会者がバールで右部分をつつくと基礎コンクリートが容易に割れる状態であったことが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。

2  右1の認定事実に、前記二2及び三の認定事実を総合すると、本件鉄扉は、ガイドローラーがガイドレールの中を走行することによって転倒を防止しており、通常であれば転倒しない仕組みとなっているところ、本件事故後の実況見分時において、開口部南側端部分が沈下していたことにより、本件鉄扉本体の前部が下がり、約1.5メートル閉鎖した状態の下において最後部のガイドローラーがガイドレール上部にはみ出たため、チェーンブロックで牽引してもそれ以上閉鎖することができなかったが、クレーンを使用して本件鉄扉最後部のガイドローラーをガイドレール内に入れ、開口状態から約5.44メートル閉鎖したところで本件鉄扉本体が降下したことによりガイドローラーとガイドレールとのかかりが四ミリメートルとなってガイドローラーがガイドレールから外れ易くなったこと、本件事故時には、本件鉄扉は開口状態から約5.5メートル閉鎖したところで転倒していること、本件事故当時、平均風速約二〇メートルの東風が吹いていたこと等の事情を総合すると、本件鉄扉開口部南側部分が沈下していたことにより本件鉄扉が降下し、開口状態から約5.5メートル閉鎖したところでガイドローラーとガイドレールとのかかりが四ミリメートルよりも少なくなって、本件鉄扉がレール上に三個の車輪に支えられて立っているという不安定な状態となったのに加えて、折から吹いていた平均風速二〇メートルの東風の力が加わったことによって本件鉄扉が転倒したものと推認するのが相当であり、前記認定事実によるも、原告ら主張のごとく本件トラックが本件鉄扉を斜めに牽引したことにより、右鉄扉下部の車輪が外れたものとは認め難いし、ほかに右事実を認めるに足る証拠もない。もっとも、本件点検時には右地盤沈下の明確な影響が見られなかったのに、何故本件事故時に右地盤沈下の影響が生じたのかについて疑問の残るところであるが、右地盤沈下が存在するとはいえ、本件鉄扉は右地盤の上に敷かれたレールの上を移動するものであるから、一時に本件鉄扉が降下する状態が生ずることはなく、右鉄扉を移動する都度、鉄扉の重量(二トン)により右レールが降下することが考えられ、その証左には、本件事故時には、ガイドローラーがガイドレール上に突き出るというようなことがなく本件鉄扉を閉鎖することができたのに、本件事故後に行われた実況見分時には、右ガイドローラーがガイドレール上に突き出て右鉄扉を移動させることができないという状況が生じていることからすると、右点検時において、本件鉄扉を開閉したことにより地盤沈下(正確には、右地盤上に敷設されたレールの沈下)を進行させ、そのため本件事故時において、本件鉄扉が降下する状況が発生したものと解するのもあながち不合理とはいえない。

五  被告らの責任

1  被告会社及び被告村田の不法行為の成否について

(一)  被告村田の過失の有無について

前記認定事実によると、被告会社は、本件事故の九日前に被告村田らをして本件点検を行わせたが、右点検時においては、本件鉄扉のガイドローラーがガイドレールから外れ易い状況にはなく、本件鉄扉の開閉はやや困難ではあったが、自動車を使用することによって安全に開閉できたこと、右点検時において、本件鉄扉の基礎コンクリート部分に割れ目があることは認められたものの、被告村田らは、右基礎付近において地盤沈下していることまで確認しておらず、また、当時、右地盤沈下の存在を窺わせるに足る資料がないこと、さらに本件鉄扉は、その構造上、容易に転倒するようには造られておらず、仮にそれはトラックにワイヤーを掛け、牽引して開閉したとしても同様であること、本件鉄扉が転倒した原因の主たるところは、地盤沈下によって本件鉄扉が降下しガイドローラーがガイドレールから外れ易くなっていたことにあることからすると、被告村田が本件鉄扉を本件トラックによって牽引するに当たり、右地盤沈下があるため、右トラックによって本件鉄扉を牽引したならば、本件鉄扉のガイドローラーがガイドレールから外れ、もって本件鉄扉が転倒するに至るであろうことを認識していなかったし、また、それを予見することができなかったものと解するのが相当である。よって、被告村田には、本件事故発生について、故意はもちろん過失はなかったものというべきである。

(二)  以上のとおり、被告村田には本件事故発生につき故意、過失はないものというべきであるが、さらに被告会社の使用者責任の有無について付言する。

本件全証拠によるも、被告村田が被告会社によって雇用されていたことを認めることはできない。

また、前記三2の認定事実によると、被告村田は、亡木村同様独立した下請けであるところ、本件事故当日、被告村田は、被告会社から土のう積みの仕事を依頼され、亡木村とともに右目的で宇部港に行った際、宇部港内において本件鉄扉以外の防潮鉄扉を閉鎖する作業が行われていたこと及び付近の潮位を見て被告村田の判断で本件鉄扉を閉鎖することとしたため、亡木村も右村田に従って本件鉄扉を閉鎖する作業に従事したものであるから、本件鉄扉の閉鎖作業については、被告会社と被告村田との間に指揮監督関係があったとは認められないし、また、被告村田が右作業につき被告会社の指揮監督の下に亡木村を指揮したものとも認められないから、被告会社に使用者責任が発生すると解することはできない。

2  運行供用者責任について

本件トラックが被告会社の所有であること及び被告会社が運行供用者であることは、原告らと被告会社との間において争いがないところ前記認定説示のとおり、被告村田の本件トラックによる本件鉄扉の牽引が本件事故の原因であるとまで認定することができないから、被告会社の運行供用者責任を認めることはできない。(なお、仮に、被告村田の本件トラックによる本件鉄扉の牽引が本件事故に関与しているとしても、前記説示のとおり、本件事故発生について、被告村田には過失があるとはいえないし、本件事故の主たる原因は、地盤沈下が発生していたことによって本件鉄扉のガイドローラーがガイドレールから外れ易くなっていたことにあり、さらに本件トラックの構造上の欠陥等がなかったことは弁論の全趣旨により認めることができること(自賠法三条但し書)からすると、被告会社は、いずれにしても本件トラックの運行供用者としての責任を負うことはないというべきである。)

3  被告県

前記二1の認定によると、本件鉄扉は、国所有の宇部港に設置された営造物であり、山口県知事が管理するものであるが、国賠法二条一項に基づく損害賠償責任が発生するためには、公の営造物の設置又は管理に瑕疵があり、右瑕疵が存在したことによって損害が発生したこと(因果関係)を要するところ、同法条項の「営造物の設置・管理の瑕疵」とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、右瑕疵の有無は、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用方法等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的に判断すべきである。しかして、前記二ないし四の認定事実によると、本件鉄扉は、ガイドローラー等による転倒防止装置が設置されていて、通常は転倒しない仕組みとなっており、また、管理事務所は、被告会社に依頼して本件事故の九日前に本件点検を行っており、その際、被告会社から本件鉄扉には異常がない旨の報告を受け、かつ、現に右鉄扉は特段の異常が認められる状態にはなかったこと、本件事故当時における本件鉄扉の閉鎖方法は、本件トラックによって牽引あるいはバールによって押し上げるというものであって、本件鉄扉が手動式であることからすると、右作業方法は通常の用法に従ったものということはできず、さらに、本件事故当時、管理事務所は、本件鉄扉を閉鎖する必要があるとは判断していないにもかかわらず、被告村田の発意の下に亡木村も加わって本件鉄扉を閉鎖した経緯等の事情を総合勘案すると、本件事故当時、山口県知事(管理事務所)は、本件鉄扉の安全性確保のために通常とり得べき手段をもって本件点検を行い、その安全を確認しているのであって、本件鉄扉開口部南側端部分の沈下の存在を予見すること極めて困難であり、加えて、本件事故は、本件鉄扉を通常の用法に従って閉鎖していたならば発生しないものであったのに、これに反し強引な方法で本件鉄扉を閉鎖したことによって発生したものであるというべく、このような事情の下においては、山口県知事の本件鉄扉の管理に瑕疵があり、それによって本件事故が発生したものと認めることはできない。

六以上の次第で、原告らの請求はいずれも、その余の点につき判断するまでもなく理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松山恒昭 裁判官 大西良孝 裁判官 橋本眞一)

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